? いしやまん-薬物災害 
 










薬物災害


2008.10.2
作:石山



 

 帰宅時間となり多くの人々が家路や食事へと行きかう繁華街、その一角のビルに設置してある街頭テレビから流れるアイドルの新曲が唐突にやんだ。
「ニュース速報です。本日、再びシメルカの食品添加が判明いたしました」
 シメルカというのは、防腐剤にも使われる薬品であり、人体に入った場合、急激な症状が起こる可能性があるものだった。しかし、自分には関係ないものと考える人も多く、一部の人が気になって立ち止まるだけだった。しかし、ニュースキャスターへと一枚の紙が差し入れられる。
「申し訳ありません。食品添加ではなく、水道への混入だということが判明しました」
 その有り得ないニュースにさすがに立ち止まる人が増えた。
「なお、混入した疑いのある水道の地域は、こちらになります」
 映し出されたのは、この繁華街を含む広い地域となっている。こんなにも一つの水道局でまかなっているのかと関心するものはほとんどいなかった。その代わり、慌ててトイレへと駆け込むものが増えていく。そして、ニュースは続く。
「シメルカの発症時間は一般的に6時間と言われております。なお、11時前後の混入ですので、今現在調子の悪い方、疑わしい方は最寄の病院へと向かってください」
 その言葉にさらに、騒然となる街角。今通りかかった人々は何のことか分からずその雰囲気に怪訝な表情をするのみだった。しかし、その雰囲気はすぐに破られる。
 1人の制服の少女が走り出したのだ。しかし、向かった方向が悪く、自転車とぶつかってしまう。そして、しりもちをつくような形で転ぶ。ただ、倒れた衝撃で気を失ってしまったようだった。
「恵美、大丈夫!?」
 その少女を追いかけてきた2人の少女が駆け寄る。倒れた少女は、短いスカートが完全にめくれた状態で衆人にさらされている。しかし、そこには変な違和感があった。それを見た、2人の少女は硬直してしまった。まわりからどよめきがおきる。
「生えてる・・・」
 そんな呟きが聞こえてくる。少女のかわいらしいパンツの隙間からは隆々と勃つモノがはみ出していたのだ。それも、欧米人並みなものだから亀頭が完全にさらされた上に、やわらかいパンツの生地を押しのけて、毛をあらわにしてしまっている。動転して立ち止まっていた自転車の女性が持っていたバッグで隠した。
「誰か、救急車を」
 女性はそう呼びかけるが、周りの状況もおかしくなっていた。少女の友達2人も顔を真っ青にして、股間を学生カバンで押さえ込んだ。そして、近くのモールへと入っていってしまう。
「えっ」
 それだけではなかった。既に回りにいた者たち、老若男女が足早に右往左往しているのだ。そのほとんどが股間の中のものを気にしている。そう、男性ならば股間のものが萎縮し、ひどければ女性器へと変化してしまう。女性ならば、ひどければ先ほどの女子高生のように男性のモノが生えてしまうのだ。
「どうしよう」
 自転車の女性は、会社帰りのOLのようで、ひざ掛けを籠から取り出して女子高生にかける。頭を保護するためにカバンを敷いた。
 しかし、この症状には、性的興奮が持続するというものまであるのだった。
「こんなに・・・」
 倒れた女子高生は、股間から伸びるモノから汁を垂らしていたのだった。若干、ひざ掛けが濡れ始めている。青臭い香りにがほのかにする中、OL自身にも変化が訪れた。スカートの中から棒のようなものが突き出してきたのだ。
「私まで!?」
 そう言ったOLは、おろおろと周りを見回す。先ほどの街頭テレビからは、避難所の案内がなされている。また、屋外から退避することも呼びかけられている。しかし、周りが残る理性を働かせて避難する中、轢いてしまった女子高生の手前動くことも出来ず携帯を取り出した。

「助けてお母さん。街で自転車ぶつけちゃって、生えてきて、大変で」
 電話の向こう側ではOLの母が荒い息をしている。
「早く避難して、ね。誰もいないところでしなくちゃだめよ。嫁入り前なんだから」
 そう言うと電話を切ってしまう。OLは、話にならないと友達に連絡する。
「栄子? 大丈夫?」
 友達は市外に住んでおり、被害にはあっていないと予想された。声も冷静だ。
「大丈夫じゃないよ。お願い、迎えに来て。女の子と自転車でぶつかっちゃって気絶しちゃって、私まで変になっちゃて」
 OLの息が荒くなっていた。
「もう、我慢できないの。」
 その手には、女子高生のモノがしっかりと握られていた。
「お尻なら妊娠しないわよね・・・」
 電話が切られる瞬間、そんな呟きが流れて消えた。



あとがき
こんな災害あったら、大変だー(期待)



石山