人を呪わば穴2つに


2008.1.6
作:石山



 

 最近出来た都心に近いイベント会場の除幕式と記念イベントとして、多数のグラビアアイドルを配した撮影会が開かれている。しかし、さすがにすべてが売れっ子という訳ではない。旬を過ぎたグラビアアイドルに混じって今話題のグラビアアイドルが数名いるという状況だった。今話題となっているグラビアアイドルの2人が、田畑コノコに高山リアだった。さすがに2人とも稼ぎ頭だけあり、多くの美女の中にいても一際目立つ何かを感じさせる。

「コノコめ、目立ちやがってー」

 控え室で不機嫌そうに言い放ったのは、リアだった。最近、多くのレギュラー番組を持っているコノコは、リアに対して徐々に差を広げ始めていた。そこに、リアは焦りと嫉妬を感じてしまうのだった。
 コノコは、お嬢様キャラを活かし人気が出ている。しかし、お嬢様育ちではないのを知っているリアにとっては面白くない。

「あの子、舞台の上で私より先に呼ばれたわ・・・」
「まあまあ、リアちゃんの方がたくさん質問が有ったからいいじゃないか。ね、機嫌直して。それに、アレもまだ決まった訳じゃないし・・・あ」

 リアの鋭い視線にマネージャーがしまったという顔つきになる。それは、映画のヒロイン候補に2人の名前がピックアップされたことに始める。
 しかし、お嬢様役であるという噂を関係者から聞いた時から、コノコに違いないとリアはイライラを募らせているのだった。
 しかも、今日は映画の配給元とスポンサー会社の人が来ているというのだ。最後のアピールタイムとも言えた。

「リアちゃん、水着はそのボックスにいれてあるからね。きっと気に入るはずだよ」
「そう・・・」

 リアの目に名前のついた2つの箱が目についた。1つはコノコの衣装ケースなのだ。

「木山さん、いつものお茶がないのよ。お願い、買ってきてー」
「わかった。ちょっと待っててね」

 リアはそう言いながら、ペットボトルのお茶を背後のバッグの隙間に隠していた。リアはマネージャがいなくなったのを確認すると控え室の中でごそごそと衣装ケースを開け始めた。

 水着での撮影会が始まるまでにスタイリストがチェックにやってきた。

「あっれ、これネームタグ付け間違えてるじゃない・・・、これだから人借りるんじゃなくて雇ってほしいのよね」

 そう言って、スタイリストはネームタグを付け替えた。

 司会のアナウンサーの声が聞こえる。

「それでは、本日のメインイベント、コノコさんとリアさんのツーショットをお願いします」

 そうして、ガラス張りのホールで水着に着替えた2人が手を振り観衆に応える。司会の合図と共に多くのシャッター音が響く。2人の水着は左右対称のデザインでタイプの違う2人が絡み合う図は、なんとも美しい。

「リアちゃん、知ってた?」
「何がよ・・・」

 コノコがリアに耳打ちをする。互いに抱き合うような形だった。互いの胸の先があたり、柔らかくつぶれる。

「ふふ、知らないのね。ふふ」

 コノコは屈託の無い笑みを漏らした。もしかして、コノコがヒロインに決まったのではないかと考え、リアの心が沸騰する。

「やっぱり・・・、やってあげるわ」
「?」

 リアは小さくつぶやくと予定には無い噴水の中に入ろうとした。

「おおおー」

 水に濡れた所を撮れると考えた参加者がざわめく。

「まだ、ちょっと冷たいわよ?」
「サービスよ、サービス」

 強引にそう言いきったリオは先に噴水の縁に座り足を水に浸けた。

「そうよね。リアちゃんの映画出演記念だもんね」

 そう言ってコノコは、思い切り良く噴水の中へと入っていった。

「えええ。私が・・・うそ」
「嘘じゃないもーん、ちゃんと社長から聞いたんだから。おめでと!」

 コノコは嬉しそうにそう言う。途端にリオが青くなる。

「コノコ、だめ、うごいちゃだめ」

 そう言ったリオは、カメラからコノコを遮るように立ちはだかった。周りが急な行動にざわめく。
 しかし、その時、噴水の定時放水が始まった。ここは、10分に1度高く吹き上がる。 それで、2人は髪をぐっしょりと濡らすほどに濡れてしまう。

「あああ」

 カメラのシャッター音が再び激しく鳴る。コノコは、さすがグラビアアイドルとあってそれに反応するように立ち位置を直そうとする。しかし、リオは、コノコにぴったりと密着するように立ちはだかる。

「だめ、うごかないで」
「え? どうしたのリオちゃん」
「ごめんね、ごめんね・・・。あたし・・・え・・・、なんで。あたしに?」

 コノコは何がなんだか分からないという顔をしている。参加者は、2人がぴったりと寄り添っている図をしっかり写真におさめている。

「リオちゃん、どうしたの?」

 リオの水着が水を浴び発熱していた。その熱は股間と胸において最も激しく、体の中へと浸透していく。
 原因は、リオが仕掛けた水に反応し活性化する薬だった。まだ涼しいこの季節では、汗による薬の活性は望めない。そのため、リオは、噴水に入ることで薬を活性化させ、コノコの体をある状態へと変化させようとしたのだった。
 リオは、コノコの水着に薬を仕込んだはずだった。観衆がいる目の前で男の体にしてしまおうと・・・。
「リオちゃん、胸が・・・」
「だめ・・・」
 そう言ってリオはコノコの背後に隠れてしまった。しかし、顔は笑顔でコノコの肩に手を置いて立っている。まだ、誰も気づいていない。

「コノコ・・・。私、男になっちゃう・・・」
「えええ」

 コノコのお尻に固いモノが突いてくる感触がする。
 コノコがちらっと見たリオの体は胸がすっかりなくなっていた。小さめの布が抑えていた乳房が縮み、平らな貧弱な胸板が覗いており、濡れた布が垂れ下がっていた。
 さらに下には、ぴったりとした布の中から肉棒がのびている。経験が多いとは言えないコノコにとって凶悪というほどの大きさだった。
 しかし、それ以外の箇所は元のままだった。

「リオちゃん、どうしよう」

 コノコはリオ以上に慌て出した。何かの急病だと思っているのだろう。

「なんとかごまかさなくちゃ・・・」

 青くなっているリオに向かって何かを思いついたコノコは、リオに向かい合うようにして立った。そして、ぎゅっと抱きつく。さきほど体を合わせた時の密着感とは違った。
 リオは体から来る未知の感覚に悲鳴をあげそうになった。それが快感だとしるまでの数秒のうちに何かが股間からこみ上げてくるのを感じた。

「はっふふあ、気持ちよすぎ・・・」
「リオちゃん、もうちょっと我慢して、大丈夫。もうちょっとで終わるから、そしたら気を失ったふりで救護の人をよぼうね」

 コノコは必死にリオを心配している。リオは自業自得の上、コノコの事を悪く思っていた自分に対して腹が立ち、そして、コノコに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
 しかし、体はコノコの柔らかく発育した体にすでに発情してしまっていた。コノコの方がわずかに背が高い。そして、股間のモノがちょうどコノコの柔らかい下腹部にこすれているのだ。胸の谷間がリオの視覚を刺激する。

「もう、ダメ・・・でるわ」

 リオの新たな器官から、男性の証拠が漏れてしまった。

「え、え、ちょっとリオちゃん。まだだめよ」

 すでにコノコのスマイルもくずれてしまっている。くたっとなったリオの体が背後に倒れようとするのを支えようとして、コノコはリオの後ろに回りこむ。
 リオの軽い体とは言っても、コノコでは支えきれない。そのまま、ばしゃっと水の中へと倒れ込んでしまう。

「だ、だめ、撮っちゃだめ。マネージャーさん」

 コノコはリオの股間から出ている物を背後から必死に掴むとその小さな手のひらで隠そうとした。さらに腕を必死にまわしてしぼんでしまった胸を誤摩化そうとする。
 しかし・・・。超望遠で撮影している者からはばっちり見えていたようで。

「リオちゃんの胸がない・・・」
「あれ・・・。ちんこ?」

 コノコの指の間から白い液を垂れ流す代物が見えている。リオは目を回したまま、水の中に沈んでいる。幸いすぐに小さい噴水が辺りを隠してくれた。
 リオは意識をなくしている間にもコノコの指で逝かされていた事にマネージャーから告げられる事になる。

 その後、参加者に対する説得むなしく、リオの男性化写真が世間に漏れ出てしまった。 
 リオの薬は一時的な物だったため、すぐに元に戻った。写真に関してもマスコミを通じてのデマであったという報道によって沈静化することになった。

 しかし、リオはコノコの事が好きになってしまい・・・。

「コノコちゃん、お願い。恋人になって」
「リオちゃん、何言ってるのよ。ほら、冗談ばっかり言ってないで映画の台詞覚えなくちゃいけないよー」

 リオの映画出演は、騒動の間に流れてしまったが、新たに他の映画への出演が決まった。

「だーって、だって、ほら、コノコちゃんにお手ての童貞もらっちゃったし・・・。こんどはちゃんとね」

 はらりとめくったリオのミニスカートから、いつか見た男性器が現れた。

「それにほら、次の映画『男の子になっちゃった』じゃ、男の子役じゃない。ね、男の小野気持ちをしっかりと勉強しないと」
「ちょっと、脱がないでってばー」
 抵抗むなしくコノコの服まで剥がれてしまいそうになる。

 こうしてリオの愛は、呪い以上に深くコノコを苦しめるのであった。




あとがき



石山