金色の波


2007.09.30
作:石山



 

 緑色のパリの空。あいつは毎日ながめている。

「いいかげんあきらめたらどうなのよ」

 私がそういうと彼女はむすっとしてクロックムッシュをほおばった。

「なんてことを言うんだ」

 彼女がパリに来てから2年たつ。地球上でいくつかの空が緑に変わった。環境汚染か、それとも宇宙からの侵略なのか。彼女はその時、今では禁止になっているエアライドを駆って私を空に連れて行ってくれた。

「あきらめるっていうのか」
「だって・・・」

 彼女はその手にもっていたフォークを取り落とした。

「きたきたきたー」
「えっ、何がきたのよ」

 その時、緑の空に金色の筋が見え始めた。

「あの時と同じだ。お前と俺が入れ替わったあの時と」
「さあ、行くぞ、あの金色の波に乗るんだ」

 彼女は私の骨ばった手をつかむと車庫に急いだ。そこには、彼女のエアライドがあった。常にチューンされている。私は彼女、いえ彼の細い腰に手を回すと空へと舞い上がった。雨も降っていないのに私の顔には水滴がかかった。


 

 

あとがき
ちょっと毛色が違いますが。即興作品です。
波とクロックムッシュが題材。


石山