仕事は便器


2008.01.18
作:石山
(ちょいダークです)
 


 寂れた公園の公衆トイレの男子便所の中に少女の怒声が響き渡った。

「おらっ、おまえがタカシに色目使ってんの分かってんだよ」

 髪質の悪そうな黄色に近い茶髪に黒い肌をした女子高生が、おとなしそうな濃い茶髪の女子高生に食って掛かっていた。

「そんな・・・」
「しらばっくれても、タカシと一緒にいるとこを亮子が見たって言うんだからな。こら、美恵子」

 そう言われ、おとなしそうな女子高生、美恵子はますます萎縮してしまう。追い詰められたトイレは長い間使われていないようで、洋式の便器が壊れたまま放置されている。

「おまえなんか、便所でひーひー言ってる姿見せてやるか」
「やっ、やめて、理沙」

 理沙と呼ばれた黒い肌の女子高生は、美恵子を足蹴にするとスカートのポケットから取り出した細い紐で美恵子を縛り始めた。後ろ手に縛られた美恵子は、壊れた便器の残った残骸にくくりつけられた。口にはトイレットペーパーが詰め込まれる。

「これを写メして、ばら撒いてやるか。便所女。これでも貼ってな」

 理沙は美恵子の胸に「便器女」と書いた紙を貼り付けた。そして、美恵子は涙を流しながらもがく。しかし、理沙を前にしてわずかに体を揺らしただけだった。
 後ろ手に縛られ、まくれあがったスカートからパンツを露出した姿が理沙の携帯に何枚も収められていく。涙が美恵子の薄い化粧を落としていく。

「ふん、汚い美恵子には、お似合い。ふふ」

 そう言った理沙だが、背後の物音に気づいて振り返る。するとそこには、見知らぬ男性が立っていた。

「あー、お取り込み中すみません。おお、やはりここにいらっしゃいましたか。これはなんとも立派な便器をなさっていますね。ワタクシはタイオウと申します」

 タイオウは一息に喋りきると、個室の中で座り込んだ形になっている美恵子に手を差し伸べた。

「何すんだよジジイ。関係ねーだろ、変態か?」

 ずいぶん勝手な事を言う理沙だが、タイオウは全く聞いていないようだ。


「いやぁ、あなたのような趣味の方を探してたんですよ。ほら、スカトロというんでしょう。便器が天職とも言うべき方がいると聞きましてね。ちょうど便器の契約がきれたところなので、探していたのですよ」

 タイオウの話も途中に、タイオウを殴ってでも立ち退かせようとしていた理沙の様子が変わる。タイオウから放たれる雰囲気に飲み込まれたようだ。美恵子も例外ではなかった。タイオウは、報酬について話をした後、美恵子を連れて行こうとする。

「あ・・・。まずいですね。あなたが便器をなさっているこのトイレの便器がなくなってしまいます。そうだ、ちょうどいいです。あなた、この方がお屋敷のトイレにいる間、ここで代わりをお願いできますか」

 理沙は微動だにできない。

「おとなしい方ですね。まあ、ほんの数年ですし、大丈夫ですよね」

 そう言ったタイオウは、美恵子を抱きかかえると、美恵子のいた便器の場所へと理沙を座らせた。

「いやぁ、助かります。では、気を楽にしてくださいね。いきますよ」

 理沙の顎に手を触れたタイオウは、理沙の顔を反らせ、その下唇を掴み引っ張った。すると、まるでアメ細工のようにその口が大きく開き、楕円へと変わっていった。

「大きさはこんなところですね。ちょっとこのままでは高いので、押しますか」

 タイオウが大口というよりも大皿のように口を開いた理沙の頭を押して高さを調整する。理沙の体の凹凸がなくなってきた。

「うーん、ちょっと失礼」

 理沙の口の中に手を入れたタイオウは、しっかりと奥行きをつくってのどまで広い空間を確保した。

「いいかんじですね。仕上げは、白い陶器・・・。んー、なんかくすんだ黒い便器になりましたが、このトイレなら目立たないでしょう。では、よろしくおねがいします。あなたにも報酬はありますので、がんばってくださいね」

 そういったタイオウは、そのまま虚空へと美恵子を抱えて消えていった。美恵子は、理沙の変わりゆく光景を目の当たりにして既に気を失っていた。


 お屋敷の一室では、裸になった美恵子が寝かされていた。

「何かショックを受けたようですが、この方にも早く仕事をしていただかないと困るんですよね」

 そう言ったタイオウは、今度は手を触れることもなく術をかけはじめた。

「あぁ、さきほどと違って水を入れるタンクがあるタイプでしたね」

 仰向けになった美恵子の頭が大きくなるにつれて、洋式の便器を形作っていく。体は垂直に立ち上がり胴体部分が水をいれるタンクへと変わっていく。脚がレバーに変わった後、股間から手洗い用の管が伸びた。

「むむ。これは、いかん」

 そう言ったタイオウは、さっさとトイレに運んでいくと美恵子の便器をすえつけた。そして、ドアを閉めると、ズボンを下す。

「歳をとるとおしっこが近くなっていやですね」

 受け答えするものはいないと思われたが、タイオウの耳には届いていた。目覚めた美恵子が、口でおしっこを飲み込んでいるための悲鳴を・・・。

「もしかして、大便の方がお好みだったのでしょうか・・・」

 こうしてお屋敷には、さらなる悲鳴が響いたのだった。



あとがき
ダークなお話が書きたかったんですよ。

石山